Webフォントにそろそろ手を出すの事

WordPressでは、ヴァージョン3.6とTwenty Thirteenのペアから本格的採用が始まったWebフォント(WebFonts)。WordPressでの新技術採用は見切り発車というか地固めというか、1年くらいして各社ブラウザがWordPressに合わせてくるのを待って、次第に導入するのが都合が良い。HTML5然り、レスポンシブデザイン然り。それで、Twenty Thirteenの登場からは1年というタイミング、そろそろ趣味のサイト以外でも採用して良い頃合いなのではないかなと思ったので、なるべく安牌的な導入方法を調べてみることにした。

Webフォントの概要

Webフォントというのは、従来のようにユーザのローカル環境にあるフォントを引っ張ってきてWEBコンテンツを表示させるのではなく、WEB制作者側があらかじめ指定したフォントをユーザ側にダウンロードさせて、ある程度制作者側が想定した通りの表示内容で表示させる仕組み。この仕組みがあれば、font-family : sans-serif;のように指定した結果がWindows環境とMac環境で全く異なって表示されてしまうという、デザイン上の困り事も軽減される。

採用のデメリットは、Webページが重くなること。何しろフォントセットを丸々ダウンロードさせるわけで、特にモバイル環境のユーザに対してはストレスを与える結果になる事が多い。また、サイトの表示が重くなると、SEO的観点からもあまりよろしくない。この辺りは膨大な文字数が必要な日本語フォントでは、とりわけ顕著である問題。

Webフォントの仕組みはCSS3の正式規格で、これ自体をサポートしていないブラウザは切り捨てる方向で話を進める。こういう話のときに取り残されるブラウザは大抵IEなのだが、実は元々WebフォントはIEの拡張規格から来ているので、案外IE4などでも使えたりする。ただ、IE8以前の場合はフォントの規格自体がEOTという独自路線のみ対応なので、場合によっては切り捨ててしまった方が面倒でないだろう。

Webフォントとして使用できる形式

そう、どのタイプのフォントがWebフォントとして使用できるかは、ブラウザ側の対応状況に依存する。TrueTypeフォントやOpenTypeフォントはPC環境に付属する一般的なフォントだが、Firefox、Chrome、Safariともにかなり以前のヴァージョンから対応している。また、Mobile SafariではiOSの4.2から対応している。日本発売のiOSデバイスならば、上限までアップデートすれば全デバイスで表示が可能ということだ。
TrueTypeやOpenTypeを表示できないのが、IE。先程も書いた通り、一貫してEOT形式を採用してきた。そのため、表示したいフォントがTrueTypeやOpenTypeであった場合、EOTに変換した上で、同じフォントをIE用に指定して読み込ませるという方針が考えられる。
TrueTypeフォントのEOTへの変換は、WEBサービスやローカルアプリケーションなどが検索すれば出てくる。代表的なところとしてはココ

.ttf/.otfとEOTの組み合わせ指定の場合

TrueTypeならびにOpenTypeフォントと、EOTに変換後のフォントが揃ったと仮定する。IE以外で未変換のフォント、IEでEOTフォントを表示させるように指定するには、スタイルシートに以下のように書く。

/*mplus-1c-thin.ttfというファイルを元にする場合*/
/*EOTはmplus-1c-thin.eotというファイル名で作成したと仮定*/
 
/*今回使用するフォントにtestfontという名称をふる*/
@font-face{
	font-family: "testfont";
	src: url("mplus-1c-thin.eot");
}
@font-face{
	font-family: "testfont";
	src: url("mplus-1c-thin.ttf") format("truetype");
}
 
/*h1見出しのフォントを全てtestfontにする場合*/
h1{
font-family: "testfont";
}

あらかじめ@font-faceでfont-familyの名前空間を確保しておき、srcでパスを指定する。その後、実際に使う箇所ではfont-familyで呼び出す。何も難しいところは無い。ただ、IE用のEOT指定の場合はformatをつけてはいけないというところは注意だ。
このように.ttf/.otfと.eotの組み合わせ指定をすれば、4以上のIEを含めた大抵のブラウザで表示が出来る。カバー率は高いだろう。

WOFFを使用する場合

ただ、TrueTypeやOpenTypeをそのまま指定する方法には、閲覧者がフォントをそのままダウンロードできてしまうという短所がある。WEB制作者的にそれで困るところはあまりないが、フォントメーカーなどはそれでは困るので、Webフォント用の新規格としてWOFFというのが策定された。最新ブラウザなどは一様に対応しているし、これから主流になっていくであろうフォーマットだ。
WOFFのメリットとして、著作権情報が盛り込めたり、データを圧縮できたりというものがある。特に後者の恩恵は大きい。

/*mplus-1c-thin.woffというファイルを元にする場合*/
 
/*今回使用するフォントにtestfontという名称をふる*/
@font-face{
	font-family: "testfont";
	src: url("mplus-1c-thin.woff") format("woff");
}
 
/*h1見出しのフォントを全てtestfontにする場合*/
h1{
font-family: "testfont";
}

WOFFに対応するブラウザは、IEは9以降、Chrome、Firefoxは割と前のヴァージョンからに対応しているので意識しないで良いだろう。Safariでは、Mac版、iOS版とも対応は5.1からと遅めで、これはOSX10.6 Snow LeopardとiOS5以降となる。iOS5以降ということで、日本発売のiOSデバイスではiPhone3Gが非対応になるし、iPhone3GSでもiOS5にアップグレードしないユーザは切り捨てだ。WOFFだけ指定するのは、MacやiOSにおいてもIE8以前バッサリ切り捨てと同じくらいの決断となる。
WOFFへの対応ヴァージョンの確認はこちらのページが便利だろう。

Webフォントのサブセット化

何とかWebフォントの容量を軽くしたいという場合には、サイト上で使う文字だけを組み込んだサブセットを作成する方法がある。武蔵システムのサブセットフォントメーカーというソフトを落として使うのが早い。サブセット化&WOFF変換をすれば、日本語フォントでも常識的なサイズに落ちてくれる。

とは言え、日本語Webフォント導入の動機は薄いかも

各社ブラウザの対応によって、確かにWebフォント導入への障壁は低くなっている。ただ、そのわりにWebフォントを使ったサイトというのがイマイチ流行っていないのは、やはり日本語の文字数が膨大で、ページ本文のフォントとして使用するのがあまりにナンセンスだからだろう。例に挙げたmplus-1p-thin.ttfというフォントで1.6MB。フォントによっては20MBくらいになるものもあるので、気に入ったデザインのフォントをよく考えないで採用すると泣きを見る。あくまでせいぜいアルファベット程度の文字セットをダウンロードさせようという目論見から来ている規格なのだろう。


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